父から託された
アパート
内装職人がアパートの定期清掃までするなんて、変わっていますよね。不動産業界に身を投じ職人の世界で修行をしてきたのも、全ては自身のアパートを経営する中で生まれた危機感からでもあります。
私が26歳のときに訪れた、突然の父親の死。残されたのは、たくさんの名刺と着工予定のアパート。片親で育てられた私にとって、昨日まで笑っていた父にもう会えないと思うと辛くてたまりませんでした。そして、当時サラリーマンで不動産の知識がない私に託されたアパート。
頭の中の整理がつかないまま言われる通りに作業に追われていましたが、父が亡くなってから1週間が経ったころ、ふと父親との会話を思い出しました。今思い返すと不思議な話ですが、父親はよくこう言っていました。「俺が道をつくっていくから、後はお前が操縦していけ」。当時の私はアパート経営自体良くわかっておらず、まだまだ先の話と思って軽い気持ちで「わかったよー」と答えていました。そのときの父と私の不動産への熱意を比べると、天と地ほどの差があったと思いますが、「やると答えた以上は、自分なりにやらなくては」と、使命感みたいなものが生まれました。
アパート経営への
興味と危機感
そこからようやく散らばった名刺に電話をかけて、関係があるとわかれば、仕事終わりに時間を合わせてもらってお話を聞く。会社が休みの日は、名刺を頼りに不動産業者に出向き、事情を説明し状況を教えていただく。半年ぐらい続けたと思います。その中でたくさんの人に助けていただき、少しずつ不動産やアパート経営に興味を持ちました。それと同時に、危機感を抱くようになります。
家賃下落、空室の増加、ライバル物件の出現、人口減少、職人不足、材料費の高騰による施工費の上昇などマイナス要因ばかりが浮かぶ中、一つの決断をしました。アパート経営を軸とした考え=アパート第一主義。不動産業界への転職です。
最低限の資格を取り、そこで売買や仲介、管理など様々な経験を積ませていただきましたが、次第に「もっとアパートを身近に感じていたい」という思いを抱くようになりました。不動産業は、土地や建物、アパートのように取り扱うものが多いため、アパートのことだけに関わる、というのは難しいのです。この想いをなんとかしたいけど、どうしても答えが見つからない…。そんなとき、たまたま仕事で空室になった部屋に行く機会があり、作業していた内装の職人さんの仕事を目にしました。これだと思いました。2度目の転職です。内装業へ。
30歳、職人の世界へ
飛び込む!
とは言ったものの、いざ転職しようと思っても内装業の求人は少なく、あったとしても実務経験が必要なものばかり。そんな中、1社だけ未経験歓迎のところがあり、そこで内装職人の見習いとして修行させていただくことになりました。
職人の世界は独特で、体力がものを言う仕事です。朝は早く、夜は遅い。休みは日曜日のみで、仕事が忙しいときは休み返上で仕事。年に何回か夜間の仕事があり、朝から深夜まで働くこともありました。そこでは、戸建住宅やアパートの新築工事、公共の建物の新築・改修工事、工場や病院や店舗の新築工事、戸建住宅のリフォーム、アパートの原状回復など幅広く仕事をさせていただき、さまざまな経験を積むことができました。
実体験からうまれた
「大家のしんちゃん」
私が「大家のしんちゃん」として、地元浜松でリフォームや定期清掃、大家様へのサポートを行おうと思ったのも、全ては実体験や失敗があったからです。アパートの定期清掃をやりたいと考えたのも、お願いしていた管理会社の清掃がずさんだったから。作業時間は5分、写真を撮りやった感を出しただけ、その姿を目の当たりにしたからです。
不動産業に転職したのも、アパート経営を行ううえで、不動産の現状を知り、実務経験が必要と判断したからです。内装の仕事も、まだ何も知識がない時に管理会社に言われるがまま何百万とお金をかけたのに空室は埋まらず、その費用対効果が得られなかったから。確かに必要な工事もあったのは事実です。しかしやる必要もない工事もあったのも事実です。無知だった自分が悪かったと思います。決めるのも自分であり、責任をとるのもアパート経営者の仕事です。
父の死以降、サラリーマンから不動産業界、そして内装業へ転職したのも、失敗から興味がわき、アパート経営の実情と職人の世界、流れ、知識、技術が必要だったからです。そう全ては「アパート第一主義」からです。不動産業、内装業、アパート経営、清掃、全て共通しているのは熱意=熱量だと考えています。その熱量があるからこそいい仕事ができ、新しい価値の創造も提供できるものと信じています。熱量だけなら負けない自信があます。
まだまだ、小さい小さい会社ですが、熱意だけは燃えたぎってます。清掃、内装のお仕事、どんな小さいことでも構いません。良きパートナーとしてこれからのアパート戦国時代を共に戦い抜いていきませんか?